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伊勢物語 第9段 東下り 現代仮名遣い

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「伊勢物語」 第9段 「東下り」の全文・「ひらがな」の「歴的仮名遣い」と「現代仮名遣い」です。

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伊勢物語 東下り  (あづまくだり) → 【あずまくだり】

作者=「未詳」 ジャンル=「歌物語」 成立=「平安時代中期」


◆昔、男ありけり。その男、身をえうなきものに思ひなして、京にはあらじ、東の方に住むべき国求めにとて行きけり。

昔(むかし)

男(をとこ) → 【おとこ】

あり

けり





男(をとこ) → 【おとこ】

身(み)



えうなき → 【ようなき】《ヨーナキ》

もの



思ひなし(おもひなし) → 【おもいなし】



京(きやう) → 【きょう】《キョー》





あら



東(あづま) → 【あずま】



方(かた)



住む(すむ)

べき

国(くに)

求め(もとめ)







行き(ゆき)

けり


◆もとより友とする人、ひとりふたりしていきけり。道知れる人もなくて、惑ひいきけり。三河の国、八橋といふ所に至りぬ。

もと

より

友(とも)



する

人(ひと)

ひとり

ふたり

して

いき

けり

道(みち)

知れ(しれ)



人(ひと)

も 

なく



惑ひいき(まどひいき) → 【まどいいき】

けり

三河の国(みかはのくに) → 【みかわのくに】

八橋(やつはし)



いふ → 【いう】《ユー》

所(ところ)



至り(いたり)


  
◆そこを八橋といひけるは、水ゆく河の蜘蛛手なれば、橋を八つ渡せるによりてなむ八橋といひける。

そこ



八橋(やつはし)



いひ → 【いい】

ける



水(みづ) → 【みず】

ゆく

河(かは) → 【かわ】



蜘蛛手(くもで)

なれ



橋(はし)



八つ(やつ)

渡せ(わたせ)





より



なむ → 【なん】

八橋(やつはし)



いひ → 【いい】

ける


◆その沢のほとりの木の陰に下りゐて、乾飯食ひけり。その沢にかきつばたいとおもしろく咲きたり。





沢(さは) → 【さわ】



ほとり



木(き)



陰(かげ)



下りゐ(おりゐ) → 【おりい】



乾飯(かれいひ) → 【かれいい】

食ひ(くひ) → 【くい】

けり





沢(さは) → 【さわ】



かきつばた

いと

おもしろく

咲き(さき)

たり


◆それを見て、ある人のいはく、「かきつばたといふ五文字を句の上に据ゑて、旅の心をよめ」と言ひければ、よめる。

それ



見(み)



ある

人(ひと)



いは → 【いわ】



かきつばた



いふ → 【いう】《ユー》

五文字(いつもじ)



句(く)



上(かみ)



据ゑ(すゑ) → 【すえ】



旅(たび)



心(こころ)



よめ



言ひ(いひ) → 【いい】

けれ



よめ




◆から衣きつつなれにしつましあればはるばるきぬる旅をしぞ思ふ

から衣(からころも・からごろも)



つつ

なれ
                       




つま



あれ

ば 

はるばる



ぬる

旅(たび)







思ふ(おもふ) → 【おもう】《オモー》


◆とよめりければ、みな人、乾飯の上に涙落として、ほとびにけり。



よめ



けれ



みな人(みなひと)

乾飯(かれいひ) → 【かれいい】



上(うへ) → 【うえ】



涙(なみだ)

落とし(おとし)



ほとび



けり


◆行き行きて、駿河の国に至りぬ。宇津の山に至りて、わが入らむとする道は、いと暗う細きに、蔦・楓は茂り、もの心細く、すずろなるめを見ることと思ふに、修行者会ひたり。

行き行き(ゆきゆき)



駿河の国(するがのくに)



至り(いたり)



宇津の山(うつのやま)



至り(いたり)







入ら(いら)

む → 【ん】



する

道(みち)



いと

暗う(くらう) → 【くろう】《クロー》

細き(ほそき)



蔦(つた)

楓(かへで) → 【かえで】



茂り(しげり)

もの心細く(ものこころぼそく)

すずろなる





見る(みる)

こと



思ふ(おもふ) → 【おもう】《オモー》



修行者(すぎやうざ) → 【すぎょうざ】《スギョーザ》

会ひ(あひ) → 【あい】

たり


◆「かかる道は、いかでかいまする」と言ふを見れば、見し人なりけり。京に、その人の御もとにとて、文書きてつく。

かかる

道(みち)



いかで



いまする



言ふ(いふ) → 【いう】《ユー》



見れ(みれ)



見(み)



人(ひと)

なり

けり

京(きやう) → 【きょう】《キョー》







人(ひと)



御もと(おんもと)







文(ふみ)

書き(かき)



つく


◆駿河なる宇津の山べのうつつにも夢にも人にあはぬなりけり

駿河(するが)

なる

宇津(うつ)



山べ(やまべ)



うつつ





夢(ゆめ)





人(ひと)



あは → 【あわ】



なり

けり


◆富士の山を見れば、五月のつごもりに、雪いと白う降れり。

富士の山(ふじのやま)



見れ(みれ)



五月(さつき)



つごもり



雪(ゆき)

いと

白う(しろう)《シロー》

降れ(ふれ)




◆時知らぬ山は富士の嶺いつとてか鹿の子まだらに雪のふるらむ

時(とき)

知ら(しら)



山(やま)



富士の嶺(ふじのね)

いつ





か 

鹿の子まだら(かのこまだら)



雪(ゆき)



ふる

らむ → 【らん】


◆その山は、ここにたとへば、比叡の山を二十ばかり重ねあげたらむほどして、なりは塩尻のやうになむありける。





山(やま)



ここ



たとへ → 【たとえ】



比叡の山(ひえのやま)



二十(はたち)

ばかり

重ね上げ(かさねあげ)

たら

む → 【ん】

ほど

して 

なり



塩尻(しほじり) → 【しおじり】



やうに → 【ように】《ヨーニ》

なむ → 【なん】

あり

ける


◆なほ行き行きて、武蔵の国と下つ総の国との中に、いと大きなる河あり。それをすみだ河といふ。

なほ → 【なお】

行き行き(ゆきゆき)



武蔵の国(むさしのくに)



下つ総の国(しもつふさのくに)





中(なか)



いと

大きなる(おほきなる) → 【おおきなる】

河(かは) → 【かわ】

あり

それ



すみだ河(すみだがは) → 【すみだがわ】



いふ → 【いう】《ユー》


◆その河のほとりに群れゐて思ひやれば、限りなく遠くも来にけるかなとわび合へるに、





河(かは) → 【かわ】



ほとり



群れゐ(むれゐ) → 【むれい】



思ひやれ(おもひやれ) → 【おもいやれ】



限りなく(かぎりなく)

遠く(とほく) → 【とおく】



来(き)



ける

かな



わび合へ(わびあへ) → 【わびあえ】






◆渡し守、「はや舟に乗れ、日も暮れぬ」と言ふに、乗りて渡らむとするに、みな人ものわびしくて、京に思ふ人なきにしもあらず。

渡し守(わたしもり)

はや

船(ふね)



乗れ(のれ)

日(ひ)



暮れ(くれ)





言ふ(いふ) → 【いう】《ユー》



乗り(のり)



渡ら(わたら)

む → 【ん】



する



みな人(みなひと)

ものわびしく



京(きやう) → 【きょう】《キョー》



思ふ(おもふ) → 【おもう】《オモー》

人(ひと)

なき



しも

あら




◆さる折りしも、白き鳥の嘴と脚と赤き、鴫の大きさなる、水の上に遊びつつ魚を食ふ。

さる

折(をり) → 【おり】

しも

白き(しろき)

鳥(とり)



嘴(はし)



脚(あし)



赤き(あかき)

鴫(しぎ)



大きさ(おほきさ) → 【おおきさ】

なる

水(みづ) → 【みず】



上(うへ) → 【うえ】



遊び(あそび)

つつ

魚(いを) → 【いお】



食ふ(くふ) → 【くう】《クー》


◆京には見えぬ鳥なれば、みな人見知らず。

京(きやう) → 【きょう】《キョー》





見え(みえ)



鳥(とり)

なれ



みな人(みなひと)

見知ら(みしら)




◆渡し守に問ひければ、「これなむ都鳥」と言ふを聞きて、

渡し守(わたしもり)



問ひ(とひ) → 【とい】

けれ



これ

なむ → 【なん】

都鳥(みやこどり)



言ふ(いふ) → 【いう】《ユー》



聞き(きき)




◆名にし負はばいざこととはむ都鳥わが思ふ人はありやなしやと

名(な)





負は(おは) → 【おわ】



いざ

こととは → 【こととわ】

む → 【ん】

都鳥(みやこどり)





思ふ(おもふ) → 【おもう】《オモー》

人(ひと)
 


あり



なし






◆とよめりければ、舟こぞりて泣きにけり。



よめ



けれ



舟(ふね)

こぞり



泣き(なき)



けり


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